2011年の春のこと。
私と夫二人で、突然にカフェの開業を志しました。

お金もなく、経験もなく、
それまで住んでいた「東京」から「神戸」に拠点を移し、
体力と忍耐とやる気を、持てる時間に全部ぎゅうぎゅうにぶつけて明け暮れたような、
そんな開業準備。
家族や同僚、先輩や後輩、友達などなど、
たくさんの人に心配をかけながら、
不思議がられながら、
時間感覚や描いている目標も朧げで
外の世界と隔絶されたような日々を送っていました。
まだ見ぬお客様に、ケシパールのことを知ってもらうためではなく、
まるで洞穴の中で過ごす日々を、
気にかけてくれる人たちに生存確認のように発信していたのが
「ケシブログ」
心配してくれている家族や友達が、見て安心できるような。
応援してくれている人たちに、何かが伝わるように。
もしかしたら、
ほとんど誰にも知られることのないまま終わるかもしれない、
私たちの挑戦の足跡を、
自分自身で振り返れるように。
自分たちの軌跡を、自分たちで記録しておこう。
そんなふうにスタートしたカフェケシパールと、「ケシブログ」

最初は開業準備しつつ、
そして営業しつつ、
日記のような感覚でアップしていました。
営業をスタートしてから数ヶ月がたち、
ありがたいことに、日々の営業が忙しくなり始め、

いま目の前のことに全力を使い果たす日々が続くようになってからは、
少しずつケシパールも世界に知ってもらえるようになり、
家族や友達にも安心してもらえるようになり、
それにつれて、
発信する意味や目的が、意識せぬ間に変わっていきます。
日々の記録も、ちょっとした紹介も、
必要に駆られながらしか、綴ることができなくなりました。


時代も移り変わり、
情報のサブストリームでしかなかったはずのSNSが、
インスタグラムによって一気に
ちょっとした情報発信や収集の主軸として台頭しました。
綴る文章や込められた想いよりも、
パッと目に入る写真への関心や重要度が増し、
それが習慣化されてしまった世間の流れをひしひし感じます。
一生懸命に校正し、
ブログやメニューブックにどんなに思いを研ぎ澄まして綴ったところで、
目の前でどんなにしっかり熱く説明したところで、
そこに対する無関心や無理解、
そして、自分がやったことが無駄だったという感覚と向き合うことが多くなりました。
少しずつ、
ブログを書く手が重くなり、
遠のいてしまった。
実は何年も何年も、
そういう気持ちがなくなることはなく、
あまり前向きにブログを書くことができていませんでした。
それから何年か後。
ここ2、3年で、
「ケシパールの文化を再構築する」ということを志し、
私自身が「実際に店舗に立つ」ということに、しっかり再度向き合い始めました。
お店に久しぶりに立つと、
久々にお会いするお客様も多く、
時の流れや人生のステージについて、
話や想いに花をさかせるようなことが多々あります。
そういった常連様はもちろんのことながら、
初めてお会いしたお客様が通ってくださるようになって、
そこでちょっとした”つながり”をはぐくんでいく…、
ケシパールを創世記に身に染みていた感じていた、
みなさんの生活や人生と、ケシパールが共に歩んでいるという感覚。
その一瞬一瞬の感覚、感じたこと、大事だと思えること、
自分たちの成長や軌跡をどこかに書き記していくべきだな、
という思いに駆られ、
読んでくれる人が少ない今だからこそ、
ある意味で「昔のように」、
「知る人ぞ知る日記」のように、
ブログを綴っていきたいと思うようになりました。

飲み込まれてしまうほどに、情報に溢れた現在で、
わざわざ知りたいと思って、開けてくれる特別な扉。
そんなことを思いつつも、
そんなことを敢えて気にせずに「ケシブログ」を再スタートしようと思います。
今までのブログも整理して残しつつ、思い出のアルバムではなく、
今現在のケシパールにつながる軌跡であり歩みとして、ブログも道を進めていけたらな、と思います。
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